CISO、「リソース不足の中でAIリスク管理に取り組んでいる」と回答

多くのセキュリティリーダーは、生成AIが自分たちの業務に登場した際、予算や人員、専門知識が増えたわけではありません。増えたのは業務量です。Proofpointが新たに発表した2026年版Voice of the CISOレポートの見出しとなる懸念数値を取り除くと、浮かび上がるのは誰も埋めなかったリソースギャップという現実です。CISOに責任だけが押し付けられたまま、誰もその穴を埋めていません。

本レポートは、2026年5月に16カ国1,600人以上のCISOを対象にCensuswideが実施した調査に基づいており、生成AIをセキュリティリスクと捉えるCISOが前年比で18ポイント増加したことを明らかにしています。現在、CISOの78%がGenAIをセキュリティリスクと見なしており、同じ割合がリソースや専門知識の増加なしにAI関連リスクの管理を求められていると回答しています。一方で、CISOの79%が、自組織における最大のサイバー脆弱性はマルウェアや未修正インフラではなく「人的リスク」だと認識しており、これは1年前の66%から大きく増加しています。

CISOやチーフコンプライアンスオフィサーにとって、これらの数字は非常に現実的でよくある課題を示しています。組織は生成AIツールを、コントロールやポリシー、データガバナンス基盤の整備よりも速く導入しました。従業員は、許可や記録、レビューの有無に関わらず、すでに機密データをAIツールで利用しています。そして、そのリスクの責任者であるCISOは、生成AIが日常業務ツールとなる前と同じ人員・予算で対応を求められているのです。

AIリテラシー研修を強化するだけでは、この問題は解決しません。これはガバナンスと証拠の問題であり、Kiteworksが提唱するAIデータガバナンスの議論に直結します。埋まらないリソースギャップを最速で解消する方法は、AI利用後のすべてのやり取りを監視するのではなく、そもそもAIツールが触れられる機密データを事前にガバナンスで制御することです。

主なポイント

1. GenAIのセキュリティ懸念が1年で18ポイント上昇

Proofpointの2026年Voice of the CISOレポートによると、生成AIをセキュリティリスクと見なすCISOは2025年の60%から78%に増加しました。

2. CISOは新たなAIリスクを新たなリソースなしで吸収

78%が、予算・人員・専門知識の増加なしにAI関連リスクの管理を期待されていると回答しており、責任範囲が能力を上回るスピードで拡大しています。

3. 技術的脆弱性より人的リスクが最大の懸念に

現在、CISOの79%が自組織の最大のサイバー脆弱性として人的リスクを挙げており、2025年の66%から大幅に増加しています。生成AIがその主な要因です。

4. 英国のCISOはリスクの顕在化を最も明確に認識

英国のCISOの66%が、従業員が機密データを露出させる形でAIを利用する可能性が高いと考えており、これは公認業務フロー内で発生しているシャドーAI活動を直接示しています。

5. 侵害への不安低下=実際のリスク低下ではない

今後12カ月以内に重大なサイバー攻撃が発生すると予想するCISOの割合は76%から61%に減少しましたが、AIや人的リスク要因は悪化しており、表面的な数字だけで判断せず慎重な分析が必要です。

GenAIのセキュリティ懸念が1年で18ポイント上昇

1年で18ポイントの変動は、この規模の調査においてどのリスクカテゴリでも大きな動きです。ProofpointのVoice of the CISOシリーズは2022年以降、地理や業界を超えてCISOの意識を追跡していますが、生成AIに対する懸念が12カ月で60%から78%に上昇したスピードは、ランサムウェアやサプライチェーン侵害など既存リスクカテゴリを上回っています。

この急増の一因はタイミングにあります。生成AIツールは、わずか約2年で実験的パイロットからほぼすべての業務機能に組み込まれた日常的なビジネスソフトウェアへと進化しました。営業チームは提案書作成に、法務チームは契約書要約に、財務チームはシナリオ分析に活用しています。これらのワークフローでは、CRMや人事システムの顧客データや契約条件、財務数値、個人情報などを、しばしば個人アカウント経由で、セキュリティチームが把握できないアクセス制御外のプロンプトウィンドウに直接貼り付けることが一般的です。

この「利便性と監督のギャップ」こそが、実質的なシャドーAIの定義です。つまり、承認された業務活動が、未承認または監視されていないAIチャネルを通じて行われている状態です。悪意は不要で、単に生成AIの利便性がガバナンスの整備よりも早く進んだだけで、2025年から2026年にかけてまさにそれが起こったのです。

懸念の急増は、生成AIがデータに対して実際に何をしているのかという理解が成熟してきたことも反映しています。初期のエンタープライズ導入では、GenAIは主に生産性向上の観点で捉えられていました。しかし2026年のデータは、CISOがこの枠組みを超え、GenAIを他の機密データを扱うシステムと同様に評価し始めていることを示しています。つまり、「データはどこへ行くのか」「誰が見られるのか」「どれだけ保持されるのか」「その取り扱いは他システムと同じ規制要件を満たしているのか」といった観点です。GDPRコンプライアンスやHIPAA、業界固有の規制下では、人間の従業員によるデータの誤取扱いもAIツールによるものも区別されません。どちらも同じリスクであり、CISOは予算よりも早くこの現実に追いつきつつあります。

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CISOはAIリスクを管理するリソースなしに責任を負わされている

より重要な発見は、懸念の数値そのものではなく、その隣にあります。CISOの78%が、リソースや専門知識の増加なしにAI関連リスクの管理を期待されていると回答しています。これは、組織の脅威サーフェスが拡大し、それに伴いCISOの責任範囲も広がったにも関わらず、生成AIリスクを管理するための予算や専門スキルは拡大しなかったことを意味します。

このリソースギャップはProofpointの調査に限った話ではありません。Kiteworks 2026年データセキュリティ&コンプライアンスリスク:年間予測レポートでも同様の傾向が記録されており、組織はAI機能の導入サイクルの方が、ガバナンスや人員、証拠基盤の整備よりもはるかに速いことが示されています。その結果、組織がAIで「できること」と、規制当局や監査人、相手方弁護士から問われた際に「証明できること」との間にギャップが広がっています。

この証拠ギャップこそが、リソース不足の最も深刻な影響をもたらします。追加人員のないCISOは、全従業員が使うすべての生成AIツールへのプロンプトを手作業でレビューすることはできません。AI専門チームを雇わずにCISOができることは、コントロールの位置を変えることです。AI利用時点での監視に頼るのではなく、データがAIシステムに流入する前にポリシーで制御する、より持続可能なモデルへと移行することです。これはKiteworks Compliant AIに組み込まれたポリシー強制によって実現でき、データがAIワークフローに流れる瞬間に自動的にコンテンツ分類やアクセス制御が実施されるため、AI導入に比例したアナリストの追加は不要となります。必要なのは、コントロールポイントの移動です。

この考え方は、CISOと並んでレポートを読むチーフコンプライアンスオフィサーやGRC責任者にも最も響く主張です。彼らの課題は、従業員が未承認AIツールを使った事後検知ではなく、「AIシステムがどのデータにアクセスできたか」「どんなポリシーで管理されていたか」「その後データがどうなったか」という防御可能な記録を短期間で提出することです。監査証跡が存在しても、証拠基準で構築されていなければ、規制当局のタイムリミットが迫る中で役立ちません。

人的リスクが技術的脆弱性を抜き最大の懸念に

CISOの79%が自組織の最大のサイバー脆弱性として人的リスクを挙げており、2025年の66%から大きく順位が入れ替わりました。これまでCISO調査の中心は、未修正システムや設定ミス、老朽化インフラなど技術的脆弱性でした。しかし生成AIの登場により、リスクの重心はキーボードの前に座る人間に移りました。なぜなら、生成AIは構造的に「日常的な人の行動(質問入力や文書貼り付け)」を「データ漏洩リスク」に変えるツールだからです。

特に英国のCISOの66%は、従業員が機密データを露出させる形でAIを利用する可能性が高いと考えています。これは将来の仮説的リスクではなく、「すでに自組織内で日常業務を通じて発生している」とセキュリティリーダーが認識している行動です。

従来のセキュリティ意識向上トレーニングは、フィッシングメールの識別や不審な添付ファイルの回避、強力なパスワードの選択など、より限定的な人的リスクへの対応を目的としていました。生成AIがもたらす人的リスクは異なり、「安全な行動」と「危険な行動」が見た目上まったく同じである点に特徴があります。たとえば、従業員が顧客契約書をGenAIツールに貼り付けて要約させる行為は、組織がAI活用を推奨している内容と一致しています。リスクは意図ではなく、「承認されたAIと未承認AIの区別」や「社外流出前のデータ分類」を強制する技術的コントロールが存在しないことにあります。

この違いは、CISOやコンプライアンスリーダーが今後どこに投資すべきかを左右します。トレーニングはリスクを周辺で減らす効果はありますが、「承認されたAI統合と従業員の個人アカウントによる消費者向けAIツールの利用」を自動的かつ大規模に区別・強制できる技術的コントロールレイヤーの代わりにはなりません。

侵害への自信低下=リスク低下ではない理由

レポート内で唯一、警戒感の高まりと逆行する数字があります。今後12カ月以内に自組織が重大なサイバー攻撃を受けると考えるCISOの割合が、2025年の76%から61%に減少したのです。これだけを見ると、セキュリティ体制が改善し自信が高まっているように見えます。

しかし他の調査結果と並べてみると、解釈は異なります。GenAIへの懸念は18ポイント上昇、人的リスクも13ポイント上昇、英国CISOの66%がAI利用による機密データ露出を懸念しています。この状況下で侵害予想が15ポイント下がったからといって、実際のリスクが減ったとは限りません。むしろ、CISOが「懸念すべき侵害」の定義を変えた、あるいは脅威があまりにも蔓延し、もはや急性の出来事として認識されなくなった「脅威疲れ」の可能性も考えられます。

さらに深刻なのは、「自信」と「コントロール」は別物だという点です。CISOは従来型の侵害シナリオ(外部攻撃者による技術的脆弱性の悪用)には安心感を持てても、新しいリスクカテゴリ(AIによるデータ露出)には依然として無防備なままです。機密データが未承認AIシステムに到達しても、ランサムウェアや認証情報詰め込み攻撃のようなアラートは鳴りません。日常的な従業員の行動によって、外部攻撃者も明確なエスカレーションの瞬間もなく、静かに発生し得るのです。CISOのリスク体制は、表面上は改善していても、既存の検知ツールが想定していない新たなカテゴリでは拡大し続けている可能性があります。

だからこそ、AIによるデータ露出は「一般的な侵害リスク」とは別に評価すべきです。従来型侵害リスクを下げるコントロール(パッチ適用、エンドポイント検知ネットワークセグメンテーション)は、従業員が保護対象保健情報をパブリックなGenAIチャットウィンドウに貼り付けるリスクをほとんど低減しません。リスクの種類もコントロールも異なり、両者を同一視したリソース配分では、実際に増大しているリスクへの投資が不足し続けます。

シャドーAIを追うのではなくAIデータアクセスをガバナンスで制御しギャップを埋める

5つの調査結果すべてに共通するのは、「AIリスクの責任範囲が、管理ツール・予算・専門知識の拡充よりもはるかに早く拡大した」という点です。セキュリティやコンプライアンス予算は、エンタープライズAI導入のスピードに比例して増えることはなく、多くのCISOがすでにその現実を認識しています。

より持続可能な解決策はアーキテクチャにあります。従業員が生成AIツールに入力するすべてのプロンプトを監視するのではなく、そもそも機密データがAIシステムに流入する時点でポリシーを強制するのです。ゼロトラスト生成AIはこのモデルに基づき、リクエストが人間の従業員でもAIエージェントでも、アクセス前に必ずポリシーで検証します。

このガバナンスをエージェント型AIや非人間IDにも拡張する場合も、Secure MCP Serverを通じて同じ原則が適用されます。これにより、AIエージェントがどのデータにどの条件でアクセスできるか、やり取りの記録をどう残すかを正確に定義でき、広範なアクセス権を与えて後から監視で濫用を検知するのではなく、接続ポイントでガバナンスを徹底できます。こうした設計により、拡大するAI活用にも限られたセキュリティ予算で対応可能となります。

また、これはチーフコンプライアンスオフィサーが直面する証拠問題の解決にもなります。AIデータアクセス時点で自動的にポリシー強制が行われれば、何が許可されなぜ許可されたのかをリアルタイムかつ詳細に記録でき、規制当局や監査人から問われてから記録を再構築する必要がありません。単に「監査証跡が存在する」だけでなく、「証拠品質で即提出可能」な状態を実現し、従来のように分散したログから数週間かけて集める必要がなくなります。

この課題は「人員増強」で解決するものではありません。Proofpointのデータが示すリソースギャップは、次年度の予算サイクルを待つ人員不足ではなく、「コントロールの位置」に関する設計上の選択です。組織は、AIシステムがデータを見る前にアクセスをガバナンスで制御することで、今すぐこの選択を変えることができます。

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よくある質問

このレポートは、2026年5月に16カ国1,600人以上のCISOを対象にCensuswideが実施した調査に基づいており、CISOの78%が生成AIをセキュリティリスクと見なしていることが判明しました(前年比18ポイント増)。同じく78%が、リソースや専門知識の増加なしにAI関連リスクの管理を期待されていると回答しており、このギャップは手作業による監督ではなく自動化されたAIデータガバナンスの必要性を直接示しています。

生成AIの導入がエンタープライズ業務全体に急速に広がった一方、多くの組織ではガバナンスや人員、予算の整備が追いついていません。そのため、結果的に発生したリスクの責任が、明確なリソース配分の決定を経ずにCISOへと集中しています。このギャップを人員増なしで埋めるには、AI利用後の監視から、機密データがAIシステムに到達する時点でアクセス制御を強制するアプローチへの転換が有効です。

シャドーAIとは、従業員が生成AIツールを公認・非公認問わず、セキュリティチームのレビューやガバナンスを経ずに利用し、しばしば機密データを監視外のプロンプトに貼り付ける行為を指します。Proofpoint調査で英国CISOの66%が「従業員が機密データを露出させる形でAIを利用する可能性が高い」と回答しており、これは将来の仮説ではなく、すでに発生していると認識されている行動です。そのため、事後検知ではなくポリシーやデータ分類による強制が必要です。

今後12カ月以内に重大なサイバー攻撃を予想する割合は76%から61%に減少しましたが、生成AIや人的リスクへの懸念は大きく上昇しています。最も考えられる理由は、AIによるデータ露出が従来型の侵害とは異なり、日常的な従業員の行動を通じて外部攻撃検知ツールでは検出されない形で発生し得るためです。したがって、組織には一般的な侵害対策ではなく、AIデータアクセス専用に設計されたAIデータ保護コントロールが必要です。

最もリソース効率の高い方法は、AIシステムにデータが流入する時点でガバナンスを徹底し、AI利用後の個別監視に頼らないことです。Kiteworks Compliant AIやエージェント型AI接続向けのSecure MCP Serverに組み込まれたポリシー強制により、アクセスルールが自動適用され、証拠品質の監査証跡が副産物として生成されるため、ProofpointのCISOが指摘するリソースギャップを人員増なしで解消できます。

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